ブセファランドラ・パールグレイ商標登録 Part1
2023年1月27日をもちまして「Bucephalandra Pearlgray」が商標登録査定を受けましたのでご報告いたします。
Bucephalandra Pearlgray
(210)出願番号:商願2022-66373
(220)出願日:令和4(2022)年 5月 27日
先願権発生日:令和4(2022)年 5月 27日
(441)公開日:令和4(2022)年 6月 20日
商標(検索用):Bucephalandra Pearlgray
(541)標準文字商標:Bucephalandra Pearlgray
(561)称呼(参考情報):ブセファランドラパールグレー,パールグレー,パール
(731)出願人
氏名又は名称:季子 宏之
住所又は居所:東京都国立市
付加情報:標準文字
法区分:平成23年法
国際分類版表示:第11版
(500)区分数:1
(511)(512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 【類似群コード】
31 ブセファランドラ属の草,ブセファランドラ属の苗,ブセファランドラ属の花,ブセファランドラ属の水草,ブセファランドラ属の種子,組織培養によって栽培したブセファランドラ属の植物
33C01 33D01
このような野生植物にオリジナルな商標を付け登録するハードルはけっこう高いです。
今回の出願は2022年でしたが、その前段階として2020年から商標出願にトライしていました。最初の出願は失効してしまって3年かけてやっと登録が出来たという事です。
しかし今思えば、当初はこういった特許、商標登録などで使われる用語の「法律的、役所的言い回し」を理解していなかったことで、余計に苦労していたという事が分かりました。
まず最初に「登録願書」を提出し、それに対しこの商標は登録出来ない旨が書かれた「拒絶理由通知書」を受け取りました。
しかし審査官の挙げている登録が認められないいくつかの理由、その理由全てを「意見書」で反論しひっくり返したことで登録査定を受けました。
一体何がダメだと審査官は言ったのか、それをどう反論しひっくり返したのか、これはなかなか面白いと思います。あちらは役所です、ただ感情的に訴えるだけでは動かないのです。
まあ需要があるかは分かりませんがいつか誰かの役に立つかもしれないので、これから何回かにパート分けし備忘録的に経緯詳細を残しておこうと思います。
A. 2022/05/30 商標登録願
B. 2022/09/16 拒絶理由通知書
C. 2022/10/19 手続補正書
D. 2022/10/19 意見書
E. 2023/01/27 登録査定
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ちなみに当然ですが、これにより基本的に私以外ブセファランドラ属の植物に「Pearlgray」という名称を使用して販売することは出来なくなります。そうなると業者さん、愛好家さんにとっても疑問が生じることが出てくると思いますので、まず今回のブログでは皆さんが疑問に感じそうなことについてQ&Aを記しておこうと思います。
Q.商標権とは何ですか?
A.商標権とは、商品又はサービスについて使用する商標に対して与えられる独占排他権で、その効力は同一の商標・指定商品等だけでなく、類似する範囲にも及びます。権利の存続期間は10年ですが、存続期間は申請により更新することができます。(日本弁理士会ウェブサイトより抜粋)
Q.商標法の目的は?
A.商標法第1条には、「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」とあります。
1.商品やサービスの出所を表示する機能、品質を保証する機能、広告機能による業務上の信用の維持
2.それによる産業の健全な競争と発展
3.消費者の利益
これらを保護することが目的です。
Q.なぜ商標登録をしたんですか?
A.ブセファランドラ属のある個体群にPearlgray(以後パールレグイ、又はパールグレー)と名付けたのは私ですが、近年明らかに違う個体群のブセファランドラがパールグレイとして販売されているという事案が散見されており、違う特徴を持った個体がパールグレイとして市場で出回ることは需要者(消費者)に混乱と不利益を生じると判断しました。
また日本国内の商標権は世界の誰でも取得することが出来ます。例えば海外の水草ファームがこの商標を日本で取得した場合、名付けた私自身が「パールグレイ」の名称を使用できなくなる可能性もあります。
Q.野生の植物(学名が含まれている)なのに商標登録できるの?
A.学名のみでは登録出来ませんが、オリジナルな名称が付されていれば可能です。
Q.TEAM BORNEO(以下TB)または卸先店舗からパールグレイを購入したのでそれをSNSなどで紹介したいが、名称を書いてはダメなのか?
A.TBまたは卸先などから購入した購入品であれば名称付きで紹介する事は全く問題ございません。
Q.TB以外ブセファランドラ・パールグレイは販売できないという事?
A.基本的に私以外はこの名称を使用して販売できません。ただし当方がこの商標を使用して卸販売した卸先店舗はその限りではありません。
Q.TB(または卸先)から購入したパールグレイが殖えたので売買したいが、名称は使用できないのか?
A.どうぞご使用ください。ただし、元々TB販売品ではないブセファランドラに「Pearlgray」の名称を使用した場合は、明確な商標権侵害さらに詐欺的行為となりますのでご注意ください。
今後ブセファランドラ・パールグレイというのはTB販売品またはその増殖品しか出回らない「ハズ」という事になりますが、愛好家さんは引き続き入手の際に注意を払い、出自の怪しいものは購入しないようにしてください。
Q.登録はアルファベットだから、カタカナなら勝手に使ってよい?
A.アルファベットの商標登録でも、一般的な読み方でカタカナ表記したパールグレイやパールグレーなどの文字列も類似の商標権として認められますので、使用することはできません。
↑画像参照:(561)称呼(参考情報):ブセファランドラパールグレー,パールグレー,パール
例:自動車販売の分野で「TOYOTA」と商標登録があれば、他者が「トヨタ」と名付けて車を販売することはできませんし「トヨタ」を商標登録することもできません。
アルファベットの商標がカタカナ表記になっても有効性があるので、一字でも違えば権利侵害にならないというのは間違いです。同様にBucephalandraとPearlgrayの文字列の間に私が「sp.」を入れたとしても、社会通念上同じものを指し、商標権を維持していると判断できます。
Q.海外から輸入の際にBucephalandra Pearlgray(パールグレイ、パールグレーなど)というインボイスが付いています。そのまま使用できますか?
A.海外からの輸入品であっても、日本国内で販売する際にその名称は一切使用できません。特にメーカー、問屋などの企業様は社会的信用を損なわぬようお気を付けください。(今回の商標登録ではこの部分が重要なポイントです。)
Q.海外でもPearlgrayというブセファランドラは販売されているようですが?
A.今回の商標登録は日本国内でのみ商標独占排他権が認められています。海外に権利は及びません。
ただし今回日本で商標登録が認められたので、手続きをすれば国際商標として出願することも可能になりました。
どうぞよろしくお願いします。